4月11日の「ヤマトタテルの会」発足式での会長あいさつ文を掲載しておきます。

本日は「ヤマトタテルの会」発足式にご参加くださいまして、誠にありがとうございます。

まずもって、去る3月24日に大阪にて「ヤマトタテルの会」総会を行い、満場一致で了承されたことをご報告いたします。

これで正式に「ヤマトタテルの会」がスタートラインに立つことができましたのも、本日出席していただいた皆様方と、本日都合により出席願えなかった方々までの、一人ひとりの心強いお力添えがあったからだと改めて感謝申し上げます。

さて、昨今の住宅作りを見ていると、住まう人のためのゆとりの住宅造りのはずが、窮屈な考え方ばかりが横行しているように思えて仕方ありません。

本来ちゃんとしていれば必要のなかった「化学物質由来の計画換気」「確認申請の複雑さ」「検査機関での各種検査」「強化される瑕疵補償制度」「4号特例廃止案」などが、まじめにこつこつと仕事をこなしてきた地域の工務店を直撃しています。

制度や条例に縛られすぎの住宅づくり、Q値に代表される数値化されたものへの偏向、FCやノウハウ・営業ツールに代表される施主不在の考え方などの、半ば強制されたものづくりが本当の家造りなのでしょうか?

そこで、これからのキーワードともいうべき「強制から共生へ」を考えてみませんか?
強制 物事を有無を言わせずに押し付ける事。
共生 共に生きる。

お互いの関係を、施主と工務店・工務店と下請け・設計者と施工者というような垣根を取り払い「共に生きる」をテーマに住宅造りを通じて、人生を共有できる友としての関係構築が必要になってくるのではないでしょうか?

この「共生」という言葉が持つ意味には結構深いところがあります。
地球環境との共生
建物の温熱環境との共生
建物との末永い共生
人との共生

これを順番に紐解いていくと・・・。

「地球環境との共生」はいうまでもなく、地球温暖化防止という観点で環境循環型社会を構築する上において、住宅資材の選定や使い方を考えましょうということに他なりません。
石油由来の製品の使用頻度を少なくすることなどの再生不可能なものをなるべく使わないようにする努力(リデュース)や、再製造エネルギーが最初の製造エネルギーを越えないような(リサイクル)や周りの使用環境が変わっても再度同じように使い回しができる(リユース)この、リデュース・リサイクル・リユースを実践していけるようにすることは非常に大切なことになってきます。

「建物の温熱環境との共生」は、省エネルギーな住環境の必要性はわかるのですが、画一的な「高断熱高気密」が住む人の幸せにつながるとの考え方に行くはずもなく、例えば住まう人それぞれの「暖かさ」には二通りあると思うのですが、実際の暖かさを意味する「温熱」、温かい心や温かい家庭というものに対しての「温かさ」などに応じたフレキシブルな考え方が必要になってきます。

もう少し掘り下げると、数値化された温熱環境に丁度対応できる人と、それを心地よさだと感じる値が違う人では、明らかに快適さの実感ベースが違うのですから、家そのものの温熱環境をどれだけ高いところに設定しても解消できるわけではありません。

究極の温熱環境を作り出すことがその家が良い家だとの認識に陥ることなく、家族や自分自身の心が暖まる空間づくりを最優先に考えたいものです。

「建物との末永い共生」は、住宅の耐久性をもっと重視して、住まう人がその住宅をいつまでも愛し慈しむ住まい方の提案とそのための実践を提唱することが大事になります。
その地域環境を知り尽くした設計・施工者が、その地域や住まい方に最も適した材料を使って、その地域に根ざそうとしている方の住まいを作ることが、住まい手が自分の住まう空間を愛するという延長線上に、家も建方に関わりあった人間関係すらも含まれていくのではないでしょうか。

「人との共生」は、人は一人で生きていけるはずもなく、誰かに頼りながら少しづつ成長しあゆむことが出来るものなのです。そういう観点からの住宅造りを進めるにあたってのパートナー構築が急務です。

ヤマトタテルの会が掲げる理念、地域の山の木を使って、その地域を理解している業者が、その家にとって優良な資材を使い、その地域に住み続ける人の住宅を建てるというこの理念が理解されてこそ、本当に必要とされる木造住宅造りが始まるのだという認識を持って望みたいと思っています。

ヤマトタテルの会が目指すものとは、まさに「強制から共生へ」の実践の場なのです。

つたない挨拶ではありましたが、ヤマトタテルの理念をご理解いただき、末永くこの会が発展していくことを祈念して挨拶に変えさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
住宅のエコについて考える1
~エコロジーもエコノミーも~

たぶん温熱環境について一番最初に思うのだろうけど・・・。
たぶんみんなは、断熱をよくして、灯油代や電気代の消費を抑えることで、エコエコを達成できるし、貢献できていると考えるだろう。

でも状況はそんなに簡単なことではない。

断熱を良くすることでの弊害(結露)を解消するために、住宅の気密化が必要だということはこのブログにも再三登場しているので理解できるところだと思うのですが(ウールブレスはこの複雑な気密化がいらないことが最大の特徴)石油化学系の断熱材を用いることでの気密化がもたらす住宅の弊害が懸念されることが、悪循環の堂々巡りから抜け出せない理由に間違いありません。

気密工事に伴う価格の上昇分や機材・施工に伴うエネルギーのロス、私が最も懸念する「気密の劣化」については誰も問いかけに答えてはくれません。

つまり、気密しなければ結露してしまう住宅だからしっかりとした気密をするのであって、その気密が長いあいだに劣化してしまうとたちどころに、結露しやすい住宅という正反対の性格の住宅に豹変することに懸念するわけです。

お上は200年住宅というものをのたまっていますが、200年住宅を気密住宅で計画しているとすれば、少なくとも50年先には笑い者です。

エコロジーの本当の意味を再度確認してください。
『自然環境を保護し、人間の生活との共存を目指すという考え方』

気密された人間だけの封鎖された環境下で暮らしながら、自然環境との共存を目指すことなどチャンチャラおかしいでしょう?

私の考えるエコエコとは

自然に対して遮断したり拒否したりすることなく、自然環境を受け入れつつその環境下で緩和させるという手法を使い、石油化学製品や石化燃料の使用をリデュースする生活だと思っています。

こういうことを述べると必ず「縄文時代に戻るのか?」とか「産業革命以前へ戻るのか?」などど突っ込まれますが、そうではありません。

レスターブラウンが提唱するように「環境的に持続可能な経済(プランB)」を目指すということにもつながりますが、少し時計の針を戻したような生活をするだけで、環境的にはニュートラルに出来ます。

具体的には、外部の温熱環境に少しも影響受けることなく暮らす方法から、影響は緩和される程度で後は個暖・個冷の対応で十分だとは思いませんか?

どっちみち外部からの温熱の影響を完璧に遮断できても、寒がりの人と暑がりの人とがいれば、室内温熱環境をどれだけ機械的に管理しても個暖・個冷の対応は迫られるわけです。

さらに云えば「外部の温熱環境からの遮断が目的ではなく、内部の温熱環境を外部に漏らさないための断熱・気密なのだ!」という人にはこう言いたい!

365日24時間回り続ける換気扇によって、せっかく維持された温熱環境を漏らしているこの現状で、白々しく聞こえちゃうんですが?

さらに、「漏らさないために熱交換機を使い効率の良い換気に努めているのだ」ということに至っては、何をいわんかやだと思うのですが。

そこまで行き着いてエコエコなのですか?


もっと付け加えると・・・。

結露させないための気密化によって、室内の湿度環境が著しく変化していることにチェックを入れなければいけません。

気密化した室内において、湿気を排出する開放型と呼ばれる熱源は使えません。
これは、燃焼すると水分が出る熱源のことで、ガス・灯油式ファンヒーター・暖炉・火鉢などです。
これらは、湿気の排出と共に二酸化炭素も放出してしまうことで気密住宅で使うことは厳禁になっています。

さらに厳密に言うと、結露対策として「室内排湿型食器乾燥機」「室内排湿型洗濯乾燥機」「鍋料理」「室内での過度の運動」なども使用を控えたほうがいいとされています。
オーバーかもしれませんが、気密住宅の考え方から行くとアウトなのです。

そういう風にして、湿度を上げない努力をしながら・・・というよりもすることによって今度は「過乾燥」という弊害が現れます。
まさに、泥沼ですよねぇ。

過乾燥・・・つまり湿度が低すぎて、生活するレベルにおいて明らかにマイナスになることを云います。

過乾燥の弊害は、ウィルス性等の病原体(風邪を引きやすくなる)・呼吸器系の疾患・アトピーやアレルギーを蔓延させる原因になります。
また、乾燥しすぎると住宅に使われている木材や家具にとっても辛い環境になりますし、ペットを飼われている場合には人間以上にきめ細かな配慮が必要になります。

それだったら上記にあるような「食器乾燥機」「洗濯乾燥機」「鍋料理」「室内での過度の運動」を認めればいいではないかと思われるでしょうが、本来計画された環境下という前提が気密の絶対条件なので、計算できないこれらの湿気の排出元は認めることが出来ないのです。

これからの気密住宅の行く末は・・・。
熱交換による計画換気をしながら、湿気を出さない室内設備と暮らし方で、計画的に湿気を供給していくということになります。

もう一度問います。

これでエコエコですか?


(株)ムラモト 村本喜義

エコギミック

2008年3月24日 23:55
エコ塗料、エコ壁紙、エコ接着剤、エコフロアー、エコ断熱材、ECO、ECO、ECO。
人にやさしい、環境にやさしい、自然素材、天然素材、エコロジー、自然、自然、自然。

いつぞやか、デザイン事務所を経営している古い友人が主催するパーティーがあり出席したことがありました。店舗のロゴやオブジェのデザインを仕事にしているので店舗建築の関係者が多く来ていいました。

友人は私が自然塗料のセールスマンであることを出席者に紹介してまわってくれました。

しゃれたクロとキンのシャツを着た快活そうな紳士に、

「どうも、日本オスモのダイコクと言います。はじめまして、よろしく。」
と私が名刺を差し出すと、彼はにっこり笑って、

「アー、この塗料ね、アトピーの子供が増えるとうれしいでしょ」
と言いました。

やはりこういう風に思われているのだと薄々感づいていました。
ありえない話ですが、エコ建築資材はシックハウス対策という販売戦術でシックハウスを心理的に増やし、そして売上を伸ばしたって思っている人がいるのではと。

シックハウス対策という詠い文句の裏側には、使わないとシックハウスになるかもしれないという観念を植え付けるメッセージが隠されているのではないでしょうか。このコマーシャルを繰り返すと、多くの消費者は際限なくエコ、自然、安全を求め始め、メーカーは待ってました、とばかりに"うちの商品は他社よりエコ、自然、安全です"と追い討ちをかけるのです。

エコに隠れてしまってあまりクローズアップされていないことですが、植物油は木材用塗料を設計するにあたり優れた物性的特性を持っています。

植物油は分子構造が小さいので多糖体に染み渡り個々のリグニンを補強する働きがあるので、木を分子レベルで保護することができます。樹齢100年のスギを100年使える建物に使おうとするなら植物油を塗り長持ちさせる必要があるのです。これは分子構造の大きい合成樹脂には真似のできないことです。

もっともっと塗料のことを知っていただきたい、今日この頃。

daikoku

森は生きてる

2008年3月 3日 10:58
皆様、川の水がなぜなくならないか、考えた事ありますか?
水は上から下へ流れている。だったらいつかなくなってもよさそうなものなのに。
日本のような急斜面の国土では、雨は一日で海に行ってしまってもよいはず。

それなのに、晴れた日でも流れているのはなぜ? そのヒミツこそ森林にある!

もう一つ、森林の土は、なぜ水にとけてなくなってしまわないのか?
...それもまた森林のおかげ!! しっかりと土を抱える木の根、ふかふかした土...

もしも、山に木がなかったら、土ははがれ、山は崩れ、雨のたび土砂と洪水!

だから人間は考え、木を植え、森林を育ててきました。努力してきました。

もしも、山に人がいなくなったら、山は荒れ、下流の都市のくらしも今の豊かなままではいられない!

今も山で森林を育ててくれてる人がいる。
『有難い事なんだな~!』だけど、今、山とつながりが見えにくくなり、下流で暮らす私達感謝の心を忘れてませんか?

森林を育ててない分、育ててくれている人達を支える。
しっかり木を使う。
それぞれの立場で、身近なことでいい!できる事を始めて見ませんか!

最近このような事を思う今日この頃...

コボット㈱田中哲司

木材の耐久性

2008年2月29日 14:58
木材の価値感は、強度だけではなく耐久性にも配慮するべきだ!

200年住宅を語るには、当たり前に200年以上耐久できる樹種の選定が非常に大事である!

木造住宅を建てる場合に、主となる構造材には耐震強度なる物だけではなくて、高温多湿の気候に耐えうる耐久性を持った樹種の仕様が当然必要になります。

なぜなのかを写真で解説します。



もう4年前に、木材業界の重鎮である榎戸さんが提唱した「全国の材木屋での一斉木材耐久試験」の当社の木材実験です。上記のもので1年後です。

通常の使用では考えられない屋外での吹きさらし実験ですが、壁内の使用で時間をコマ送りさせたと思っていただいて結構だと思います。

見ての通り、外見からはほとんど変化がありませんが、雨の降った後の画像ですがWW(ホワイトウッド)だけが非常に乾きが遅く、いつまでも水分が残った状態なのでこの後にどんな変化をもたらすかは容易に想像がつくところです。

これが3年後にどう変わったかというと・・・。



WWにきのこが生えました!
こうなると、中は腐ってボロボロです。
わずか3年でここまで他の木材との差が出てしまうのです。

もっと驚くことには



寸法安定性がいいことが集成材の最大の売りなのに、湿気で膨らんで見る影もありません。
それと特筆するべきは、接着が剥がれていることです。
これは集成材ではあってはならないとされていることです。

とにかく木造住宅に末永く住まおうと思った時には、木材の樹種の選定は絶対条件です。

WWの柱を桧や杉の柱に替えても、住宅の価格が高くなるというほどのことにはならないです。
ただし、いくら桧や杉の材料でも「しらた(辺材ともいう)」が多ければWWと変わんない評価しかできませんよ。

だからこそ、「木のソムリエ」たる木材のプロにお任せあれ!
ベストマッチの木材をチョイスできますから!!

(株)ムラモト
子供と大自然を参考に生きれば、地球上の大きな問題は解決する・・・!

子供(いのち)と自然(環境)にごまかしはききません。
だからなのか、それらにふれていると自分の劣化しかけた生物的本能を取り戻して生きたい!本物を見る感性を(人間がもっている力)大切にするぞ!と、真剣に考えます。

そういえば、映画【アース】を見ました。
太陽の恵みを求めて移動する多くの生き物たちの旅(ドキュメンタリー)は、38億年の記憶をそれぞれの遺伝子に刻み込んだ動物たちや鳥たちの生と死のドラマ。

それは、我が地球に今、まさにものすごいいきおいで起こっている大変なことをも伝えている。50億年前に始まった地球の絶妙なバランスが崩れ、死に絶えようとしている無数の動物たち。

【地球温暖化】が生命たちのトータルシステムを途切れさせていく・・・ 失われば帰ってこないいのち

天変地異に人類は無力。
だけど、温暖化はそれとは違う。
地球の力・森の力・人間の力(自分)を各々が見つめ、一歩踏み出したなら必ずバランスは戻る。地球は本来、強さと慈愛の環境なのだから。

CO2削減!!と、呼ばれるが、CO2の排出権の売買(お金)で事が済む!?
地球全体のCO2の量を減らすことに全くならない机上の論理が国際社会で通じるなんて・・・。

バイオエネルギーがもてはやされ、効率の悪いエネルギーを作り、やはり使ってCO2を出す。森を削って、原料作りとは・・・。
のん気な小手先の対応ではどうにもならない所まできている!

加速していく温暖化・・・
正直こわい。

どうしたらいいんだろう・・・? 
企業がごまかしの数字ではなく、ムダのない数をはじき出す・・・
そんな根っこのところから、本気になって始める!!

例えば、余分な印刷をしない!処分される程のモノを作らない!質にこだわりすぎないetc

コストをかけず、今すぐできるCO2削減法は真剣になれば、欲をすてれば、山程ある。

不言実行!!とにかく一歩前へ!30年後に生きる子供たちのためにも。

コボット株式会社 田中哲司

材木屋考

2008年2月 8日 09:32
木青会(木材業界の若手の集まり)を離れて2年以上たって、木材業者とのつながりが薄くなってきていることに気が付きました。
そういえば、昔から木材業者間の疎通なんてものは希薄でしたから当たり前といえば当たり前なのですが・・・。

今までの業者間というものは競争相手でしかなく、お互いに切磋琢磨していこうという意識の薄い業界でした・・・が、これからの商売のあり方を考えていくと「共に生きる」がキーワードになりそうです。

巨大なメーカーや問屋や材木屋やプレカット工場は一人で戦っています。そりゃそうです。喰うか喰われるかの企業間競争をしているのですから。しかし、彼らでさえもライバルとされたところと手を取り合おうとしています。

でも彼らの業務提携や仕事の分け合い方は、自分に都合のよいことだけを選択しているだけの内向きの協力関係です。

ヤマトタテルに共感している私が考えているのは、あくまでもこの業界にいるのなら「住まう人」のために何が出来るのかということのための外向きの協力関係上の「共に生きる」ことです。

要するに、木造業界の業界地図が、大手中心・プレカット化・新建材化・キット化によって、木材の事を理解する大工との距離が遠く線が細くなってしまい、木材を正しく使っていただく素地がなくなりつつあることで、木材業界が危惧する粗悪住宅が普通に出来てしまっていることに、我々はなすすべがないという現状を打破しなければならないことだと思っています。

これを各社がバラバラにやっていたのでは、結局自分だけのためのマスターベーションになってしまい、大手がやっていることと変わらないことを小手がやってしまうことにつながります。

大手にとって一番都合がいいのは、小手が自分の土俵に乗ってくれることです。これは大手にとって戦いやすい!一番やっちゃだめなことです。

大手が乗れない小さな土俵をたくさん作り、つなげることです。
小さな土俵を持ち寄り大きくすることとは根本的に違います。

これをやれば、各地域の木材商や、地域に根ざした・・・いや、根ざそうとしている住宅会社と組むことが出来るんです。・・・やっと結論に近づいた。・・・といいながら結論はありませんよね!

皆と同じこと、大手と同じこと、うまくやっている人の猿真似、何でもかんでも代理店やFC・・・これでは絶対にだめです!

「住まう人にとって、その住宅にとって」本当に必要とされる資材と情報が提供できるかどうかが問題なんですよね。
またこれが、地域に根ざした住宅会社の目指す方向でもあるわけですから、木材業者間の情報交換を最大限に生かして「共に生きる」ことを模索すればいいと思います。

相手が何を求めているかということが商売の基本となることは承知していると思いますが、相手が勘違いしていることも多々あるわけで、今までその勘違いに付き合いすぎた木材業界の不幸が事実として存在していることですよね。

噛み砕いて言うと、この不況下で建築業界は生き残り策を「見栄え・省力化・低価格」に求めた結果、木材業界もそれに答える形で、「新建材化・プレカット化・低級木材化」への道を突き進んできたのだと思うのです。
ある意味、短期的には効果が出ましたが、その後に大きな問題をいくつも抱えることになってきたのです。

1、新建材化の弊害である揮発性有害化合物の使用の危険性が叫ばれ、その結果F☆☆☆☆なる物が現れて、然もこれを使えば健康住宅だという認識が設計者・建築業者のみならず、一般ユーザーにまで浸透していき、自然素材(木材含む)までが「F☆☆☆☆ですか?」などと言われる始末を起こしてしまっていること。

ちなみにFはフォルムアルデヒドのこと。☆4つは、最低レベルだが確実にフォルムアルデヒドが出るという指標。

2、大工の技量や質までもが低下してきたことは、プレカット化によって大工仕事にまで異様なまでのスピード化を求めることや、新建材ばかり使わせて若い大工の技量を磨く機会を与えられないばかりか、パネル化・下職化・建材店による仕上げ工事請負などにより、1軒あたりの大工請負金額が極端に少なくなって、時間を削ったり手間を削るなどして収入を合わせている現実があるからです。

ちなみに、大工の工料には「一手間かける」ことが入っているはずなのですが、「真っ直ぐな物しか使わねぇ!」だとか、持ち込んだ材料の家屋への取り込みの手伝いを拒否するだとか、造作材に超仕上げまで掛けて持ってこい(手鉋は掛けないのか?)など、手間を惜しむ仕事の仕方が増えているように思えますが、「手作り」の住宅が手間を惜しんで良い住宅作りが出来るとは思えません。

3、低価格化の要求に木材業界は恥も外聞も無く、ただただ妄信的に建築業界に応えてきたことは、日本の腐朽菌に対しての耐性を持たない北欧のホワイトウッドの普及や、湿気や耐久性に問題があるMDF素材やオレフィンシート貼りの造作材の普及、高速プレカット機械に対応できるというだけの過度なまでの高精度・高乾燥材の供給、歩留まりが悪いから決して端材の有効利用でもないし、破棄時には産業廃棄物として2次利用すら出来ない集成材の多用などを生み出してしまいました。

結局、建築業界にとっても「見栄え良く、簡単に早く、安い住宅」が販売できることは理想でしたが、それを達成するときのプロセスが上記のような勘違いを想定せずに始めてしまったことが、「安っぽく、手間を省く、安物の住宅」を生み出してしまったということなのでしょう。

これからは、我々も木の専門家集団として一般ユーザーに対して「木の家づくり」の正しい情報と共に商材が流れていることを認識できるようなことを、「共に生きるメンバーヤマトタテル」と共に考えアピールしていくことが木材産業界にも必要なことだと思われます。

『共に生きる』住宅会社がより良い企業に変わっていただくためのサポート体制づくりには、今まで付き合ってきたお客様である住宅会社の中でも救いようの無いところをあえて切る覚悟も持ちつつ、正しい商材の確保でのみ商売できる環境づくりもしなくてはなりません。言葉だけきれいごと言っていても、扱い材料に申し開きできないものがあっては何にもなりませんから。

(株)ムラモト  村本 喜義

ジャパングレード

2008年2月 8日 08:57
仕事で海外に行くことがちょくちょくある私には、近年ここまで日本を取り巻く環境や、日本に対しての認識が変化したことは無いと思っています。

昨年、オーストラリアと中国に行って感じたことは、円の価値がここまで下がっているのか!ということです。7年前に65円=1豪$だったものが100円=1豪$になった、12円=1元から15.5円=1元という為替の問題だけではなくて、日本を見る目が変わった・・・「ジャパンアズNo,1」の時代からバブル崩壊後未だに立ち直れないことへの哀れみの目とでも言いましょうか、日本を明らかに下に見ている(見下すという表現まではいかないが)ような気がします。

もともと世界経済の中でも、日本の商社を中心に世界中のものを物量の力で買いあさっていた時代の商売のやり方(品質は良くて、ひたすら安く大量に)を今でも続けているからだろうなぁと思います。

日本の企業が日本人に物を売る品質基準が世界一だと誰もが認めて、その高品質と消費活動に特に中国・韓国をはじめとした東南アジア各国から羨望のまなざし(ルックイースト)で見られていたときはもう過去のものです。

日本人の求める「品質」の異常なまでの潔癖性・完成度は、日本の企業間競争の中での産物で、消費者はだんだんとその過剰品質に馴らされていった結果だと思いますが、当たり前のことですがそのような品質が世界基準のわけではないので、特に中国などでは世界中から製品加工の注文が来るようになった現在、日本だけに特別な製品を供給するための生産効率の悪さが認識されてきて、日本に売るものを作りたがらない傾向が出てきました。

実際には必要ないほどの高品質な商品を作るために、どれだけの手間や材料が無駄にされているのでしょうか?
また、その高品質なものだと信じられているものが、表面だけを着飾ったりしただけの商品だとしたらどうでしょうか?

高品質が単なる着飾ったものではなく、良い材料で長持ちすることに考え方を変えていかなければ、日本人の価値観そのものが世界から否定されるときがやってくるかもしれません。

地球環境の問題が今は中国でも語られるようになったのに、すぐに買い換えてしまうような薄っぺらな商品(新建材などを中心)などを作り続けている日本が滑稽にすら思えます。

最近の中国産冷凍食品に対しての過剰ともいえる反応は、他の国では考えられないぐらいだと思われます。

これでまた、日本の食品に対しての関連法令がより厳しくなり、一般家庭では何もリスクをとらなくてもすむような、隅々まで管理された食品が並ぶことでしょう。

こんなことを云うと「自分が被害者になったときのことを考えていない!」というようなお叱りを受けるのですが、言い古された言葉に「自己責任」ということがありますよね。これが今の日本人にはなさ過ぎる。

一つ問題があれば、より基準が厳しくなり、より審査が厳しくなり、それを監督する機関が新たに作られたりの繰り返しです。

何も考えずに、管理された物を選択するのか?

自分自身の責任で選択するのか?

日本人は、管理監督されて安心する国民ではなくて、考え工夫し行動する国民であって欲しいと思います。

(株)ムラモト  村本 喜義


★荒廃する日本の森林を復活させる画期的な取組がある。我々業界の人間は、すわ補助金だ、超大型工場だ、流通経路の見直し、大規模植林など(人間の手による)ストレートな方法で森林の保護や活動を行ってきた。

それが最良の方法だと信じて疑わなかった。それは行き詰った森林政策と同様に、過去に固執し古い価値観から抜け出せずにいる我々の心の状態そのものだ。しかしここに全く別のアプローチで、結果的に日本の森林、ひいてはその生態系、更に日本人の価値観すらも大きく変えてしまう壮大なプロジェクトに挑んでいる人達がいる。

たまたま本屋で、タイトルに惹かれて1冊の本を手にした。
その本は『日本の森にオオカミの群れを放て』吉家世洋著、BNP社

衝撃的なタイトルは、オオカミを何かに揶揄したものではなく、本物の生きたオオカミそのものだ。

なんと無謀な企画だと思うかもしれないが、実は驚くほど科学的で緻密に研究・検証された計画で、全202ページを一気に読みきった。

★内容を要約すると、太古から日本の自然生態系の頂点にいたのはオオカミで、しかも彼らは(犬などに比べてもはるかに)完成度の高い肉食獣で、自分達の頭数をコントロールし、獲物となる草食獣も根絶しないように巧みに保護!驚くべき能力を持っていたという事から始まる。

①、それぞれの群れのテリトリーの間に緩衝地帯を作り、草食動物たちの繁殖の余地を残す。そして数が増え過ぎてこの安全帯に納まらなくなった獲物を食べる。

②、無差別に獲物を捕まえるのではなく、歳をとったシカ、病気のシカ、怪我をしたシカ、仔ジカなどを的確に見つけ出し狩りをする。この事はシカに伝染病が流行しても大量死する事態を回避させているだけではなく、弱ったシカを優先的に間引くことから健全な遺伝子が残っていく。勿論病気のシカを食べてもオオカミには感染しないらしい。

★ニホンオオカミは100年前に絶滅したと言われている。その為天敵のいなくなったシカやカモシカ、サルなどが無制限に増え彼らの食物となる草や木の葉、木の芽、樹皮、木の幹の形成層までことごとく食べ尽くした。

そして草も生えない裸地が広がり、小笠原諸島などでは土が海に流出している。
また吉野・日光・阿寒などの国立公園では貴重な原生林が枯死し壊滅状態にある。

大台ケ原ではシカの食害でコケも枯死し、生態系そのものが崩壊したという。
尾瀬の湿原でも高山植物までもが大きな被害を受けている。

無論人間の手による自然破壊も防止しなければならないが、、放っておくととどまる事を知らないシカ、カモシカなどの食害も緊急課題で、それを解決することが出来るのがオオカミの復活なのだ!!

★人間の力では到底復元不可能なこの問題を、オオカミは驚異の能力で正確にやり遂げる。しかも食べ残した餌によってキツネやタヌキ、クマなども恩恵を受け今問題となっているクマに襲われるという被害も減少が予想されている。

明治時代まで日本の森林の生態系の頂点にいたオオカミは、健全な自然環境を土台から譲ってきた自然界の管理者だったのだ。

★この復活の手段として著者は、1993年に、日本オオカミ協会を設立し、いろいろな調査研究の結果、ニホンオオカミのルーツにもっとも近い中国のオオカミの移入と場所の選定までも進めている。

但し、この計画には、常に「人が襲われるのでは?」という危惧がある。しかし、本来日本にはオオカミを危険な害獣とみる概念はなく、それどころか神の使いとして尊重してた。それが放畜民から生まれたキリスト教が入って来た明治の頃から反オオカミ思想が急速に浸透してきた。

「赤ずきんちゃん」や「三匹の子豚」で描かれるオオカミは邪悪の象徴で人を襲う。しかし実際には、アメリカでは1600年代に白人が入植してから現在までの300年以上の間、人がオオカミに襲われたという記録は一件もない。

★アメリカのイエローストン国立公園では、既にその計画が実行され生態系のバランスの修復に成果をあげている。その根底にはナチュラル・レギュレーションという新しい思想がある。

自然の管理は、人間が干渉せずに自然本来の営みに任せることが最適とする考えだ。近年我々は、「人間に役に立つものだけを保護し、無益なものや実のならないものは駆除するという」功利的な概念で社会活動をしてきたが、今やそれは行き詰まり、社会が閉塞状態に陥っている。

これからは、人間の都合に反するものを含めた本来の姿の自然を保存し相応のリスク(例えばオオカミに咬まれたとしても)を承知の上で、自然と共存する意義を重視する

自然保護思想が重要だと述べてある。これが少しも説教っぽくなく、まさに目からウロコの一冊!!

★行き詰っている森林保護政策に風穴をあける壮大なプロジェクト。自己の利益追求の功利的な論争な中からは、決して生まれることのなかった崇高な理念であり、精神的なゆとりにも結びつく。森を見て木を見ていなかったような机上の森林保護に猛省を求める一冊としても読んでもらいたい。

読後につくづく思った。森の復活を願うのは人間だけではない。

森林は、この世に生きとし生ける全ての生物のものだということを。



コボット株式会社 田中哲司


木の家を提供するにあたって、安心して住まい手に届けるためにはどうすればいいのか?
答えの一つとして、直ぐに出荷することの出来る 『養生出荷待ち材』を持つ、そして見て頂く、という選択をしました。
木はどこかで必ず乾燥させなければならないのです。木には天然(自然)乾燥が一番良いとされています。天然乾燥で大切なことは、風の通る場所におき雨・露に当てながら木の内部にある渋を抜きつつ太陽熱で水分を取り去っていくことです。
雨にぬらしてこそ、赤身のなんともいえない色合いが出ることを知っておいてください。
当社がやってみて感じたことは、適度な湿度を加えながら乾燥させていく方が色合いが一定するだけでなく、のちに家の中に入ったとき、全体に香りが広がることが挙げられます。
天然乾燥だと含まれる成分の放出も少なく、色や艶も自然のまま仕上がります。更に環境に負荷をかけません。だから一番いいのです。
しかし、場所的・時間的に大きな負担となることも。でも取り組みました。乾燥に要する時間は柱材で6ヶ月から1年。横架材(梁や桁材)で1年以上は必要です。奈良県五條市にある阪口製材所・五條工場http://wood-sakaguchi.jp/gaiyou/gojyou/index.htmlにはワインではないですが2年もの3年ものの梁桁材も取り揃えています。

乾燥したものから順に、日光の直接あたらない屋根の下にストックしていきます。皆さんに安心して使って頂くように、製材された半製品で4000m3 約100棟分の木材を養生出荷待ち材として揃えております。
長尺材も安心して出荷できるよう5から6m材はもとより7,8m 10mのものまでの材を梁成450mmのものまでは乾いた状態で常時準備しております。吉野及び五條工場にて展示は完了いたしました。

こうして思いをたくさん詰め込んだ木材料を、住まい手の方に建築家や工務店とお越し頂きたいと言うのが私達の思いです。
乾燥されていく様、乾いた材料を修正挽きし、表面の皮一枚剥ぐと色艶の良い木が生まれてくる。そんな光景を目にして住まいづくりの想い出を作って欲しいと考えます。

阪口製材所 阪口勝行

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