ヤマトタテル発足にあたり

2008年4月15日 16:23
4月11日の「ヤマトタテルの会」発足式での会長あいさつ文を掲載しておきます。

本日は「ヤマトタテルの会」発足式にご参加くださいまして、誠にありがとうございます。

まずもって、去る3月24日に大阪にて「ヤマトタテルの会」総会を行い、満場一致で了承されたことをご報告いたします。

これで正式に「ヤマトタテルの会」がスタートラインに立つことができましたのも、本日出席していただいた皆様方と、本日都合により出席願えなかった方々までの、一人ひとりの心強いお力添えがあったからだと改めて感謝申し上げます。

さて、昨今の住宅作りを見ていると、住まう人のためのゆとりの住宅造りのはずが、窮屈な考え方ばかりが横行しているように思えて仕方ありません。

本来ちゃんとしていれば必要のなかった「化学物質由来の計画換気」「確認申請の複雑さ」「検査機関での各種検査」「強化される瑕疵補償制度」「4号特例廃止案」などが、まじめにこつこつと仕事をこなしてきた地域の工務店を直撃しています。

制度や条例に縛られすぎの住宅づくり、Q値に代表される数値化されたものへの偏向、FCやノウハウ・営業ツールに代表される施主不在の考え方などの、半ば強制されたものづくりが本当の家造りなのでしょうか?

そこで、これからのキーワードともいうべき「強制から共生へ」を考えてみませんか?
強制 物事を有無を言わせずに押し付ける事。
共生 共に生きる。

お互いの関係を、施主と工務店・工務店と下請け・設計者と施工者というような垣根を取り払い「共に生きる」をテーマに住宅造りを通じて、人生を共有できる友としての関係構築が必要になってくるのではないでしょうか?

この「共生」という言葉が持つ意味には結構深いところがあります。
地球環境との共生
建物の温熱環境との共生
建物との末永い共生
人との共生

これを順番に紐解いていくと・・・。

「地球環境との共生」はいうまでもなく、地球温暖化防止という観点で環境循環型社会を構築する上において、住宅資材の選定や使い方を考えましょうということに他なりません。
石油由来の製品の使用頻度を少なくすることなどの再生不可能なものをなるべく使わないようにする努力(リデュース)や、再製造エネルギーが最初の製造エネルギーを越えないような(リサイクル)や周りの使用環境が変わっても再度同じように使い回しができる(リユース)この、リデュース・リサイクル・リユースを実践していけるようにすることは非常に大切なことになってきます。

「建物の温熱環境との共生」は、省エネルギーな住環境の必要性はわかるのですが、画一的な「高断熱高気密」が住む人の幸せにつながるとの考え方に行くはずもなく、例えば住まう人それぞれの「暖かさ」には二通りあると思うのですが、実際の暖かさを意味する「温熱」、温かい心や温かい家庭というものに対しての「温かさ」などに応じたフレキシブルな考え方が必要になってきます。

もう少し掘り下げると、数値化された温熱環境に丁度対応できる人と、それを心地よさだと感じる値が違う人では、明らかに快適さの実感ベースが違うのですから、家そのものの温熱環境をどれだけ高いところに設定しても解消できるわけではありません。

究極の温熱環境を作り出すことがその家が良い家だとの認識に陥ることなく、家族や自分自身の心が暖まる空間づくりを最優先に考えたいものです。

「建物との末永い共生」は、住宅の耐久性をもっと重視して、住まう人がその住宅をいつまでも愛し慈しむ住まい方の提案とそのための実践を提唱することが大事になります。
その地域環境を知り尽くした設計・施工者が、その地域や住まい方に最も適した材料を使って、その地域に根ざそうとしている方の住まいを作ることが、住まい手が自分の住まう空間を愛するという延長線上に、家も建方に関わりあった人間関係すらも含まれていくのではないでしょうか。

「人との共生」は、人は一人で生きていけるはずもなく、誰かに頼りながら少しづつ成長しあゆむことが出来るものなのです。そういう観点からの住宅造りを進めるにあたってのパートナー構築が急務です。

ヤマトタテルの会が掲げる理念、地域の山の木を使って、その地域を理解している業者が、その家にとって優良な資材を使い、その地域に住み続ける人の住宅を建てるというこの理念が理解されてこそ、本当に必要とされる木造住宅造りが始まるのだという認識を持って望みたいと思っています。

ヤマトタテルの会が目指すものとは、まさに「強制から共生へ」の実践の場なのです。

つたない挨拶ではありましたが、ヤマトタテルの理念をご理解いただき、末永くこの会が発展していくことを祈念して挨拶に変えさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。

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